2010年11月3日水曜日

Peregrina a Santiago(14)


あっちゃんは登り道が得意で、平地で歩いている時とあまり速度が変わらない。かたや山道が苦手の私の足は、登りで一気に足が重くなり、息が上がる。二人の間の距離はどんどん広がっていくが、お互いのスピードで歩き続ける。これはいつもと同じ状況だ。

私たちが2年半前から始めた四国遍路では、徳島県にある十二番札所・焼山寺への山道が「遍路ころがし」と呼ばれる最大の難所だ。700メートル程度の峠を3つ超えるのに、あっちゃんは5時間、私は5時間55分かかった。これだけの体力差、運動能力差がある。

「焼山寺と比べるとどうだろうね」が、私たちのいつもの視点だ。幸せやしんどさは相対的なもので、目の前の不幸や苦役が過去のそれより軽そうなら、何とか乗り切れるだろうと思えてくる。焼山寺のあの難所を越えたんだから、が私たちの小さな自信になっていた。

オ・セブレイロ峠の勾配は、焼山寺に比べればゆるやかだった。だが、ひたすらダラダラとのぼりが続き、これといった休憩所がない。アクセントがなく、いつ終わるともわからない道が延々と続く。それも難所のカテゴリーに入るだろう。

半袖のシャツからのぞく左腕が、じりじり焼けてくるのがわかる。巡礼道はひたすら西に向かうから、午後になると太陽の位置は後ろから左方面に移動する。だから左腕は右腕より焼ける。沿道の樹木が少なく、強烈な太陽にさらされている丸裸の道。気温が高くなるにつれ、体力がぐんぐん奪われていく。スペインの日差しの強烈さ。それがオ・セブレイロ峠の伏兵だった。

ほかの巡礼たちもみんなしんどそうだ。普段なら「よい巡礼を Buen camino」が通り過ぎる時に掛け合う言葉なのに、今日は「暑いね」「疲れるね」が多い。健脚のあっちゃんは「抜いたり」「抜かれたり」だったが、弱脚の私は「抜かれたり」「抜かれたり」の連続。あっちゃんが道ばたで休憩していると、「あなたの友だちを後ろの方で見かけたよ」「あそこで休憩していたよ」などと、私の状況を何人もの巡礼たちが伝えてくれたという。

ハエも多い。巡礼道は牛が落とした糞でいっぱいだ。乾いた糞も生乾きの糞もある道は、ハエの住み家でもある。牛やハエと共存しない限り、巡礼道は歩けない。慣れないうちはその臭いにも閉口した。

途中の商店でアクエリアスを飲み干して、若干、元気回復。ラ・ファバLa Fabaあたりが標高900メートル、そこから250メートル登ってラ・ラグナ・デ・カスティージャLa laguna de Castilla

1510分、標高1150メートルにあるアルベルゲに到着。今日はのべ8時間で3万4247歩、20.2kmを刻んだ。今日は“水もしたたるいい女”、ではなく、汗だけがしたたっているだった。

Photo by Atsuko

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