
小さなバルをすぎると、山小屋風のアルベルゲに着いた。今日歩いた巡礼道は1時間30分ほどで7.2キロ。まあまあの早足で進んできたように思う。まだ巡礼を始めたばかりで疲れていないからだろう。朝からの総徒歩数は14075歩。この程度ならラクだけど、強い日差しに結構汗をかいたな。早くシャワーを浴びたい。
アルベルゲのオスピタレロに「ベッドはありますか¿Hay cama hoy?」と聞く。シングルベッドの並ぶ1階は満室だけど、2階なら空いているという。その2階の説明がわかりにくい。「一度、見ておいで」というので階段を上ると、広い屋根裏のような空間に、ぶ厚いマットレスが何枚も敷いてあった。床に雑魚寝だけど、これで十分。オスピタレロに5ユーロを払う。
アルベルゲAlbergueとは、スペインの巡礼道沿いにある「巡礼宿」のこと。レフヒオRefugioいう場合も同様だ。公営と私営があり、公営の経営母体は自治体や教会、修道会など。原則は予約できず、受付は先着順。公営の方が受付人数や門限などに厳格だ。通常は一泊しかできない。公営は5ユーロ〜、私営は10ユーロ前後〜。宿泊代というより、寄付金に近い感覚。
一般的なアルベルゲでは二段ベッドがずらりと並んでいるが、一段ベッドのところ、床にマットレスを敷いたところも。一つの建物の中にアルベルゲ(ドミトリー)と、個室を併設しているところもあり、それぞれ室料は異なる。シャワー(浴室、洗面室)、洗濯場・物干し場、キッチン・食堂などの有無やレベルはいろいろ。シュラフ(寝袋)や石鹸類、タオル類は持参する。
まずはお風呂ね。一人がお風呂に行く時は、残り一人は荷物の見張り番となる。一人旅なら貴重品を浴室までもっていかないといけないので、この点は便利だ。
しばらくすると、先発隊のあっちゃんが、びちゃびちゃに濡れたサンダルで戻ってきた。二番手の私は綿の簡易スリッパを持ってお風呂へ。トイレ2室とシャワー2室、洗面台、洗濯機がある部屋だ。シャワーから熱いお湯が出るのはうれしいのだが、その水がすべて部屋の床全体に流れる設計になっている。あっちゃんのサンダルが濡れた理由がわかった。
お湯と寝床があるかぎり文句はいうまい。入浴後には、化粧水と美容液で顔をケアし、足の裏やふくらはぎもしっかりマッサージする。こうしてケアしておくことで疲れた体はスムーズに回復するし、手を抜けば翌日には筋肉痛となり、痛い目に会うことは四国のお遍路で十分経験している。
中年女の肌にはスペインの強い日差しと乾燥は大敵だ。たとえ荷物が重くなっても、日焼け止めと、保湿効果の高い美容液は必携。こんなこと、若い時には考えもしなかったな。おまけに私は数日後から、月経を止めるためのホルモン剤を服用する予定だ。このホルモン剤への注意書きは「副作用は、光によるシミの発生が増えること。しばらくは直射日光にあたるな」である。ふえーん。日光に当たらずにスペインを歩けるかい。
普段のお遍路では、日焼け止めを塗って眉毛を書いたら完成だが、今回の巡礼ではファンデーションもつけている。「BBクリームにしたら便利だよ」とあっちゃんは言うのだが、皮膚が弱いので、使い慣れていない化粧品を旅先で使うのに抵抗があり、普段の化粧品をもってきた。おばちゃんには、おばちゃんなりの苦労があるというもんさ。
洗面台で下着やシャツを洗濯し、庭に干したら、今日の“しごと”は終了。さて、ビールでも飲みにいきますか。
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