2010年10月12日火曜日

Peregrina a Santiago(1)

最初に私を呼んだのは聖ヤコブだった。
キリストの弟子で、最初の殉教者となった聖ヤコブは、スペイン語でサンティアゴと称する聖人。
彼のお墓がスペインの西の果てにあって、そこへ向かうのがキリスト教の巡礼道。何年間に一度、聖なる年があり、その聖年には世界中から巡礼が集まってくる、と聞いたのだ。近年では、聖年は2010年にやってくるという。
ふーん、おもしろそうだな。サンティアゴに向かって歩いてみようかと思ったのが3年前、2007年だった。

一緒に行く?と誘って、「行くよ!」と即答したのがアツコ。あっちゃんとは20年以上前からの古い友人だ。
彼女は四半世紀前の新婚旅行でヨーロッパを訪れたのだが、その中でスペインが一番気にいって、旅程を変えてでも長居したほどだったという。それ以来のスペイン贔屓だった。
夫のヨシオは「ボクも行くけど、歩くのはやだなぁ」という。「じゃ、レンタカーを借りて近くを走っててよ」。
こんないきさつで、サンティアゴに向かう「徒歩チーム」と「車チーム」が結成され、それぞれルートを検討し、同行者を誘うことにした。

あっちゃんから、びっくりの提案が出た。「何百キロもあるスペインの巡礼道なんて、そう簡単には歩けないよ。だからさ、四国のお遍路で練習してみない?」
え、お遍路って何? それ、白い衣裳着て、杖をついていく、おばあさんの旅じゃないの? 
そんな先入観をもっていた私も、金剛杖、菅笠、白衣に身を包み、徳島から始め、高知の足摺岬を越える中で、一気に「お遍路」にハマった。お遍路の仲間が増え、大学院で遍路学や比較宗教学まで学んでいた。
スペインの巡礼道を歩くための練習として四国八十八カ所の札所めぐりを始めたのに、ともかく「歩いて聖地をめぐる旅」のおもしろさにどっぷり浸かっていた。
同時に、スペイン語のレッスンを受け、機能的なギアやウエアを日常に取り入れた。

キリスト教における巡礼と、仏教におけるお遍路は、どう似ていて、どう違っているのだろうか。それを体で確かめてこようというのが私のサンティアゴへ向かう動機として固まった。

聖ヤコブに呼ばれ、空海が鍛えてくれた3年間。とうとうスペインに旅立つ日がやってきた。


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